2月28日（金）、『VOLUNTAINER Meeting 2025～東京マラソン2025 みんなでつなぐサステナビリティ～』で開催されたトークセッション「 ASICS presents もう一つのインタビューリレー！」において、2016年リオデジャネイロパラリンピックに水泳日本代表として出場したパラリンピアンで、アシックスのブランドアンバサダーを務める一ノ瀬メイさんが登壇。東京マラソン2025で初めて施行実施されるDuo Team*で参加したショーン＆シェイマス親子と対談しました。
*Duo Teamとは
永続的な身体的障がいにより自力歩行が不可能な人がロードレース用にカスタマイズされた車いすに乗り、その車いすを押して走るランナーで構成される２名１組のチームのこと
■国際的なレベルで走れることに大きな意味
――東京マラソン2025で初めて施行実施されるDuo Teamとしてアメリカから参加する、ショーンさんとシェイマスさんの親子です。どうぞ拍手でお迎えください。
まず、Duo Teamとはどういうものなのか説明したいと思います。Duo Teamとは、ロードレース用にカスタマイズされた車いすに、永続的な身体障がいにより自力歩行が不可能な人である「ライダー」が乗り、その車いすを押す「プッシャー」との２名１組のチームのことです。すでにアボット・ワールドマラソンメジャーズのほかの大会では導入されていまして、今回初めて東京マラソンで施行実施されるものです。スタート時間は、車いすと同じ9時5分を予定しております。東京マラソン2025においては、アボット・ワールドマラソンメジャーズのほかの大会に参加経験のあるDuo Team 4組に施行していただきます。またDuoTeamをサポートするガイドランナーはフラッグつけて走ります。
それではDuo Teamのことを少しお分かりいただけたところでお話をお伺いしていきたいと思います。まず、走ることを始めたきっかけを教えてください。
ショーン 私はライダーであるシェイマスの父親です。シェイマスが小さいころから一緒に走っていて、彼が7歳の頃にマラソンを走り始めました。もうこれまで50以上のマラソン大会に参加しています。東京マラソンは初めての国際的なマラソン大会になります。ここまで来られたのはスポンサーのアシックスさんのかけがえのない協力あってのことですので、本当に感謝しているとともに誇りに思っています。
――一ノ瀬さんからお二人に対して何か質問はありますか？
一ノ瀬 私も一人のパラリンピアンとして、どれだけその大会に色々な人が参加できる権利をもらえるか、そのインクルージョンというものにパッションを持っています。今回の東京マラソンで初めてDuo Teamが施行実施されるということはどのような意味を持つと考えていますか？
シェイマス 私たちが最初のDuo Teamとして東京を走れることに対してとてもありがたく思っています。それは私たちの地元でインクルージョンを代表して走るのではなく、こうして国際的なメジャーマラソンでで走れることに大きな意味を感じています。
ショーン シェイマスは足に障がいがあるため、一人で歩いたり動いたりすることはできませんでした。それでどうすればシェイマスは色々なことができるようになるだろうと、彼が小さいころから妻と話し合ってきたんです。やはり動けないとなるとただの傍観者になってしまうので、自分がシェイマスの足となって一緒に走ることで、彼がここまでやってこられましたし、そして東京にまで来ることができました。それはすごく誇りに思うことで、とてもありがたいことです。
――普段はどのくらい練習しているのでしょうか？
ショーン シェイマスは今、大学にも通っているので一緒に練習する機会は少なくなったのですが、大会が近づいてくると一緒に練習します。走る距離は1回につき20マイルくらいで、アップダウンのあるコースも一緒に練習しています。シェイマスが大学に行っている時は別々に練習していますが、その練習のモチベーションやインスピレーションはいつも息子のシェイマスです。
■もっと色々なDuo Teamの仲間を増やしていきたい
――初めての東京の街はいかがですか？
シェイマス 本当に素晴らしいです。この数日間、東京を観光したのですが、特にご飯が美味しいですね。
ショーン シェイマスがすぐに大学に戻らないといけないので、大会翌日の月曜日にはもう帰らないといけないんです。だからもう1回、東京に来ないといけないですね（笑）。シェイマスは北アメリカ以外の国に来たのは初めてです。
――東京マラソンのボランティアについてはいかがでしょうか？
ショーン 本当にやさしく迎えてくれて嬉しいです。そして、大会当日はたくさん応援してください。
――一ノ瀬さんからほかにも何か聞きたいことはありますか？
一ノ瀬 50以上のマラソン大会に出場されたということですが、なぜそんなに続けられるのでしょうか。続けるモチベーションがどこにあるのか、マラソンのどこが好きなのでしょうか？
シェイマス お父さんと一緒になって何かをするということが、まず大好きなんです。一緒になって自分たちが大好きなマラソンを走ること、そしてそのマラソンを通して自分たちのコミュニティを代表してたくさんの人に知ってもらったり、関わりを持てることがマラソンを好きな理由です。
ショーン 一緒に時間を過ごせること、そしてシェイマスが大きなイベントやコミュニティに参加していくことに大きな意味があると思っています。
――東京マラソンに何かリクエストはありますか？
ショーン まずは私たちを迎え入れていただいたことに大変感謝しています。でも、これがゴールではないと思っています。これからもっともっと色々なDuo Teamの仲間を増やしていきたい。だから、これがまずスタートだと思っています。
一ノ瀬 ガイドランナーさん（東京マラソン財団担当職員）にもひと言いただきましょうか？
東京マラソン財団担当職員 はい。Duo Team は今回初めて試行実施しますので、私たちも経験がない分、試行錯誤しながら準備を進めてきましたが、皆さんもぜひDuo Teamを見かけたら、たくさん応援していただけたらと思います。よろしくお願いします。
■どんな体でも同じように参加する権利がある
――それではお時間が来てしまいましたので、最後にメッセージをお願いします。
ショーン 東京マラソン財団、アシックスはもとより、皆さんの応援のもとでここに来ることができて大変感謝しています。
シェイマス 初めての東京マラソンにとてもワクワクしていますし、すごく楽しみにしています。
一ノ瀬
お二人のこれまでの道のりのお話を伺うことができたことに感謝しています。お二人のお話にとても感銘しましたし、当日は沿道から応援させていただきたいと思っています！ 頑張ってください！
――ありがとうございました。皆さま、大きな声で応援をお願いします。あっという間の時間でした。一ノ瀬さん、本日、視覚障がい者ランナーの町田さん、ガイドランナーの滝澤さん、そしてショーンさん、シェイマスさん親子と対談されたことで、改めて感じた大会に向けての思いなどをお聞かせください。
一ノ瀬 どちらの話も聞いていてすごく楽しかったです。でもやっぱり選手時代から私も意識していたのですが、オリンピック、パラリンピックがどんどん同じように扱われるようになってきて、それは今日登壇してくださった方たちや色々なアスリートが参加して実現してきたことでもありますし、大会に関わる皆さん、ボランティアの方も含めて運営の方たちがどんどん推進してサポートしてくださったからこそ実現したものだと思っています。なので、先ほど登壇したお父さんのショーンさんも「とにかく参加できることに感謝している。本当にありがたく思っている」とおっしゃっていたのですが、やっぱりこうやって色々な人が、たとえどんな体だったとしても同じように参加する権利があるのは東京マラソンならではだと思いますし、どんどん広がっていくことが本当に楽しみだなと思いました。私からもありがとうございます！
【終わりに】
東京マラソン2025では聴覚に障がいのあるデフランナーへの取り組みも行いました。まずは、デフランナー用のアスリートビブスが初めて導入されました。また、スタート時には「スタートランプ」という方法で、光で号砲を知らせた他、アナウンス内容を多言語字幕表示することができる「サウンドUD」を活用しました。さらに、視聴覚障がいや多言語対応など様々なシーンでのコミュニケーションに対応するため、ボランティア活動向けにアプリ「UDトーク」の活用を推奨しました。
これからも東京マラソンはインクルーシブな社会の実現を目指して、障がい等のある方や LGBTQ+(性的マイノリティ)の方等に配慮しながらあたたかく優しい大会を目指したサステナビリティの取り組みを推進してまいります。
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【レポート】VOLUNTAINER Meeting 2025（全体）
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