車いすレースは、午前9時5分にスタートしました。男子は世界記録保持者で、リオデジャネイロ・東京パラリンピック金メダリストのマルセル・フグ(スイス)が貫禄の走りを見せました。スタート直後から抜け出し、一人旅となってペースを上げていきます。独走体勢を築き、1時間22分16秒でフィニッシュ。2位に6分56秒差をつける圧倒的な強さでした。
「私にとって素晴らしいレース。大満足している。自分の強さを実感した。」と喜びを表しました。独走は意外な展開だったようで、途中で後ろを振り返って2位との差を確認。「ペースを制御して管理した。」と余裕のレース運びでした。「東京の街を走り抜けられたのはハッピー。1位をとれて嬉しいです。」とあらためて優勝を噛みしめていました。
フグのライバルと目されていた、日本記録保持者の鈴木朋樹は序盤からフグに付いて行けず、1時間29分12秒の2位。西田宗城が樋口政幸との3位争いを制し、1時間29分55秒の3位に入りました。
副島正純車いすレースディレクターは「車いすのレースにしては少し風が強かった。先頭のフグ選手、それ以降の選手のタイムも(思ったより)伸びなかった。車いすが風に振られることもあって、速度に乗せられなかった。ただ、大きなトラブルもなく、まとめとしてはいいレースになったと思う。」と総括しました。
女子は喜納翼が土田和歌子との一騎打ちを制し、1時間40分21秒で2連覇を達成しました。15km過ぎから徐々に差を広げ、夏冬のパラリンピック計8度出場のレジェンドを引き離し、終わってみれば4分37秒差の圧勝でした。喜納は「想定していたよりハード(なレース)だった。無事にフィニッシュできて安堵しています。」と頬を緩ませました。思ったより、風が強く、「追い風がない中でのレース。スピードに乗せるのが難しかった。」と振り返りました