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アンチ・ドーピング情報

クリーンランナーをめざして

担当:真鍋知宏(日本陸上競技連盟医事委員会 副委員長)

第3回 何度も血液ドーピング検査を受ける選手がいるという話は本当ですか?

以前、ドーピング検査では尿検体のみを採取していました。しかし、巧妙にドーピングをしている選手を見逃さないようにするために、血液検体も採取するようになりました。2021年夏の東京2020大会においても、尿検体と同時に血液検体も採取されるという選手を何度も見かけました。そのような選手の中には、大会前の競技会外検査で何度も血液検体を採取されている場合があります。今回は「何度も血液でドーピング検査を受ける選手がいるという話は本当ですか?」という疑問に答えます。

従来のドーピング検査は、その検査の際に採取した尿あるいは血液中に禁止物質が存在するかどうかという基準で判断されていました。ドーピング検査の技術的進歩にもかかわらず、検査をすり抜けて禁止物質を使用している選手も残念ながらいると言われています。そこで、選手の複数回の検査結果を総合的に判断することによって、ドーピングによる異常な数値を検出することが出来ないかと考えられたのが、アスリート・バイオロジカル・パスポートです。
パスポートと言っても、皆さんが海外旅行に出かける時に持参するような身分証明のような手帳が発行される訳ではありません。健康診断などで採血検査を受けると、検査結果の用紙に基準値、基準範囲あるいは正常範囲が記載されているのに気付くでしょう。検査値がこの範囲から外れていると、何らかの病気を持っている疑いとなり精密検査を勧められた経験のある方もいることでしょう。一般に病気などがなければ、検査値は一定の範囲内で推移しています。つまり、トップアスリートといえど特別なことをしない限りは検査値の推移は想定の範囲内にとどまるということです。アスリート・バイオロジカル・パスポートでは、この範囲内の算出にベイズの定理という考え方が用いられています。ある結果が出た時に、その結果を考慮した上で次の事柄が起こる確率を算出するのに用いられている統計学的手法です。
それでは、検査値が想定される範囲内から外れたらすぐに違反に問われるのでしょうか?そのようなことはありません。検査値はドーピング以外でも変動する可能性を十分に検討する必要があります。まず、採血時の選手の状況を十分考慮しなくてはなりません。採血前に非常に激しいトレーニングをしたか、標高の高い所で高地トレーニングを行ったか、あるいは病気で治療を受けたかなどです。これらは検査値を変動させる要因となりますので、検査時にこれらに関する質問に答えることになっています。これらの要因を検討せずに検査値だけで直ちに違反という判断をすると、ドーピングをしていない選手に誤った判断を下してしまうおそれがあります。このような変動要因がないにもかかわらず、想定の範囲外の検査値が出た際にはアンチ・ドーピング規則違反に問われることがあるのです。
すでにアスリート・バイオロジカル・パスポートに基づく違反例が報告されています。陸上競技における最初の違反例は、2012年5月に国際陸連(現在の世界陸連)から発表されたポルトガルの男子長距離選手です。2009年12月から2010年11月までに採取した血液データに基づいて予測される変動範囲から、2011年5月の採血データが外れました。これに基づいて、この選手は4年間の資格停止処分を受けました。
このように禁止物質が直接検出されなくても、アンチ・ドーピング規則違反となりうるのです。韓国・テグ(2011年)、ロシア・モスクワ(2013年)で行われた陸上競技の世界選手権では、参加した全選手に対して採血検査が行われました。私は日本選手団のチームドクターの1人として、日本選手の採血検査に数多く立ち会いました。選手村到着直後に採血されるのは煩わしい作業であったはずですが、全員きちんと検査を受けていました。検査を行う方にとっても、多大な労力と費用を伴う検査ですが、クリーンなアスリートだけで行われた大会であることが証明されれば、大きな成果であると思われます。このような成果を踏まえて、競技種目に応じて、採血検査の項目を選択することも開始されています。何度も血液での検査を受ける選手がいるというのは、上記のような理由のためです。
もちろん日本国内の主要なマラソン大会でもドーピング検査が実施されており、アスリート・バイオロジカル・パスポートを目的とした採血が行われております。みなさんが参加される東京マラソンは、2013大会からアボット・ワールドマラソンメジャーズという世界6大マラソンの1つとなりました。東京マラソンでは世界陸連アンチ・ドーピング規則に基いて、多数の採血検査が実施されています。

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